ステロイド緑内障治療に用いるマイトマイシンC(MMC)併用トラべクレクトミーが必要な重症春季カタル

今回ご紹介する研究は、ステロイド反応のあるアジア人の小児重症春季カタルの臨床徴候と緑内障濾過手術の危険因子を明らかにすることを目的として実施されました。

研究デザインは、後ろ向き比較対象のないケース・シリーズで、研究の参加者は、Singapore National Eye Centreで6年以上診察されてきた小児重症春季カタル患者です。

患者ごとの臨床徴候、症状および治療様式は、以下の三群に分類されて記録されました。
(i)重症春季カタル(臨床評価3以上)と診断された患者
(ii) 臨床評価2以上で、21mmHg以上の眼圧の記録のある患者  
(iii)症状の治療が1年間の最小追跡期間で終わった患者。

主要転帰尺度は、MMC併用トラべクレクトミー(※1)が必要となるステロイド緑内障であるかどうかです。

結果は、以下のとおりでした。
・36人の患者のうち6人の患者(8眼)がMMC併用トラべクレクトミーを必要としました。
・MMC併用トラべクレクトミーを必要としたすべての患者は男性で、疾患発症の平均年齢は9.3+/-4.5歳で、平均罹患期間は、6.08 +/- 3.5年でした。
・平均眼圧はベースラインから29.0 +/- 8.2 mmHgに上昇し、すべての症例でMMC併用トラべクレクトミーが必要とされました。
・トラべクレクトミーの主な危険因子は、眼圧のベースラインからの大きな上昇(オッズ比1.3; 95%信頼区間、1.0-1.5; P=0.011)であり、それは、使用するステロイドのタイプや継続期間のような潜在的交絡因子(※2)によるものではありませんでした。
・MMC併用トラべクレクトミー前後を比較すると、臨床的に重症春季カタルは、すべて改善され(平均臨床評価改善2.1;95%信頼区間、1.3-3.0;P<0.001)、平均22.5 +/- 15.3ヶ月の間、ステロイド点眼薬依存性は低下しました。

そして、私たちの研究では、「より大きなステロイド反応」のある患者、すなわち、ステロイド点眼薬を使用中に眼圧がベースラインからより高く上昇している患者は、30%高いトラベクレクトミーの危険性と関連している、と結んでいます。

ステロイド点眼薬をご使用中の患者さんは、ステロイド緑内障の発症を防ぎ、緑内障濾過手術が必要となることを避けるためにも、必ず、主治医の先生の定期的な診断を受け、指示通りに点眼してください。


※1:トラべクレクトミー
「緑内障患者に対するトラベクレクトミー ~結膜下にベバシズマブを注射した群とマイトマイシンC(MMC) を併用した群の比較~」の脚注をご参照ください。

※2:潜在的交絡因子
「トピラマート服用に伴う緑内障発症のリスク」をの脚注をご参照ください。

引用文献:Severe vernal keratoconjunctivitis requiring trabeculectomy with mitomycin C for corticosteroid-induced glaucoma.
Ang M, Ho CL, Tan D, Chan C.
Clin Experiment Ophthalmol. 2012 May-Jun;40(4):e149-55. doi: 10.1111/j.1442-9071.2011.02591.x. Epub 2011 Jul 26.