緑内障患者に対するトラベクレクトミー ~結膜下にベバシズマブを注射した群とマイトマイシンC(MMC) を併用した群の比較~

新年明けましておめでとうございます。
本年も当院をよろしくお願い申し上げます。

今回は、久しぶりに緑内障に関する話題をご提供いたします。

この研究は、結膜下にベバシズマブを注射してトラベクレクトミー(※1)をした結果とマイトマイシンC(MMC)を併用してトラベクレクトミーをした結果とを比較することを目的として実施された前向き無作為比較研究です。

この研究では、34人のコントロール不良の緑内障患者から36眼が登録され、18眼が、結膜下にベバシズマブを注射(2.5mg/0.1mL)したトラベクレクトミーを受け、また、18眼が、MMC(0.02%を3分間点眼)を用いたトラベクレクトミーを受けました。

結果は、最も矯正された視力、眼圧、眼圧を下げる薬剤の数、合併症および肺胞性肺嚢胞形態学的特色について判定されました。

MMC群とベバシズマブ群の追跡期間は、それぞれ7.8+/-2.2ヶ月、7.4+/-2.4ヶ月でした。

最後のフォローアップ時の累積治療成功率は、ベバシズマブ群で100%、MMC群で94.4%で、統計的に優位な差はありませんでした。

しかしながら、ベバシズマブ群の平均眼圧が、術前の21.9 +/- 7.9 mm Hg(2.7 +/- 0.8剤の緑内障治療薬を使用)から、最終受診時には、13.6 +/- 3.2 mm Hg( 0.2 +/- 0.5剤の緑内障治療薬を使用)まで改善されたのに対し、MMC群の平均眼圧は、術前の23.3 +/- 4.9 mm Hg( 2.6 +/- 0.7剤の緑内障治療薬を使用)から、最終受診時には、9.6 +/- 2.7 mm Hg(緑内障治療薬の使用なし)まで改善され、最終受診時の2つの群間の眼圧には、統計的に有意な違いがありました。

結膜下にベバシズマブを注射したトラベクレクトミーは眼圧をコントロールするのに有効であると言われています。しかしながら、その結果はMMCほど顕著では無い様です。

※1:トラべクレクトミー
線維柱帯切除術、濾過手術ともいわれ、虹彩に小さく開口部を作るとともに強膜に水が流れる通路を造り、後房から強膜外 (眼球外) へと房水を排出させます。この手術は、眼圧降下作用が大きく、効果の長期的な持続が見込めます。また、創傷治癒を抑制するためにマイトマイシンC (抗がん剤性抗生物質) を併用する場合が非常に多い手術です。

引用文献:Am J Ophthalmol. 2012 Feb;153(2):352-357.e1. Epub 2011 Oct 7.
Subconjunctival bevacizumab versus mitomycin C adjunctive to trabeculectomy.