医療費はなぜ増え続けるか、それに対してどうすればよいか?
根本原因は、これは人間と自動車の対比で考えればわかりやすい。(詳細省略)
自動車は技術進歩によって耐久性の高い車種が開発されてきたのに、人間の耐久性は基本的には変わらない。人間の寿命は基本的に遺伝子によって決められているからである。これを自動車にたとえると、耐久性が等しい同一車種が生産され続けて、修理技術だけが進歩し続けている。こうして人間の平均寿命は延びた。その代価(必要経費)として、修理代がかかる。従って人間が寿命を追求していくなら医療費の増加は永遠に続く。
A 医療費が増える三大要因
第1は、人口が高齢化すれば国民各世代の平均受診率は高いほうに移動する。
第2に、医療技術は絶えず進歩する。
第3に、労働生産性の低い部署は、賃金上昇部分を価格に転嫁せざるを得ない。(この場合、医療)
B 医療費の増加の定量化はできないか?
今後25年間に日本人の一人当たりの医療費は、年率15%で伸びる。(計算根拠省略)
C ではどうすればよいか?
簡単である。順当な経済成長率を実現すればよい。高齢化の労働力の低下による経済成長率低下は年0.3%程度と推計できる。(根拠省略)
従って年率2%程度の生産性の向上で、医療費が年率5%増加しても医療以外の財、サービスを年1%で増加させることは可能である。(根拠資料省略)
D 結論
現時点で最優先させるべきことは、医療費抑制ではなく一刻も早くデフレから脱却することである。経済再生のために医療費抑制という「痛み」を受け入れなければならないというが、経済再生のためという療費抑制策が景気を冷やす一因となっているのは明らかである。従って、医療費増加を患者負担増ととられるのではなく、経済成長ととらえる「逆転の発想」が必要である。(大和総研、高橋正明氏ほか)