食事の内容と開放遇角緑内障のリスク:ロッテルダム スタディ

開放隅角緑内障(OAG)は世界的に不可逆的失明の最も一般的な原因です。
加えて、眼圧上昇とは別に、酸化ストレスおよび眼血流障害が、開放隅角緑内障の一因となると言われています。

今回ご紹介する研究は、抗酸化性のある栄養素(カロテノイド、ビタミンおよびフラボノイド)の食事接種、もしくは、血流に影響を及ぼす栄養素(オメガ脂肪酸およびマグネシウム)の食事接種が開放隅角緑内障の発症に関与しているかどうか判断することを目的として実施されました。
この研究は、人口に基づく前向きコホート研究です。

この研究では、55歳以上の合計3502人の参加者の調査開始時の食事のデータ、眼に関するデータと追跡調査の結果が入手され、データには、調査開始時に誰が開放隅角緑内障でなかったか、ということも含まれていました。

眼科検査は、眼圧測定と視野測定から成っており、栄養素の食事摂取は、認可された質問票よって評価され、エネルギー摂取量で調整されました。

そして、コックス比例ハザード回帰分析という統計手法によって、年齢、性別、眼圧、眼圧を下げる治療の実施、ボディー・マス・インデックス(※1)ごとの栄養素の基本摂取量と開放隅角緑内障の発症の関連性のハザード比(※2)が計算されました。

平均9.7年の追跡調査期間中に、91人の参加者(2.6%)が開放隅角緑内障を発症しました。

レチノール当量(※3)大量摂取群のハザード比は0.45(95%信頼区間0.23-0.90)、ビタミンB1 大量摂取群のハザード比は0.50(95%信頼区間0.25-0.98)、マグネシウム大量摂取群のハザード比は2.25(95%信頼区間1.16-4.38)でした(それぞれ三分位の最も高い摂取群と最も低い摂取群を比べた場合)。

この結果は、サプリメントをとる参加者を除外したら更に顕著でした。

従って、レチノール当量およびビタミンB1の少量摂取(仮説と一致)およびマグネシウムの大量摂取(現時点で明白な説明不可)は、開放隅角緑内障のリスク増加に関係しているように思われる、と結んでいます。

神経質にサプリメントを常用する必要はないと思いますが、普段からバランスの良い食事を心がけましょう。


※1:ボディー・マス・インデックス
下記計算式から導かれるヒトの肥満度の指数のことで、18.5未満はやせ型、25以上が肥満、30以上であれば高度肥満とされている
BMI=体重(kg)/身長(m) ²

※2:ハザード比
1を基準として、対象群が比較群と比べて有効性、リスク等がどの程度であるのかを示す指標のこと
ハザード比が1.50であれば、対象群は比較群と比べて50%有効性が高い、リスクが高い、ということになります

※3:レチノール当量
ビタミンAの量を表す単位のこと

引用文献:Nutrient intake and risk of open-angle glaucoma: the Rotterdam Study.
Ramdas WD, Wolfs RC, Kiefte-de Jong JC, Hofman A, de Jong PT, Vingerling JR, Jansonius NM.
Eur J Epidemiol. 2012 May;27(5):385-93.