小児、未成年の春季カタルに対してステロイド点眼薬を長期使用することによる緑内障、高眼圧症発症のリスク

現在の日本では、このようなことはないと思いますが、インドでは、ステロイド点眼薬が、緑内障の発症等、眼に対する有害な作用がよく知られているにもかかわらず、春季カタルのような眼の炎症による不快感を早急に取るために、時々、非合理的に、長期間にわたり使用されていた、とのことです。

今回ご紹介する研究は、春季カタルの小児、未成年の患者に対して、ステロイド点眼薬を長期間使用することの眼に対する影響を明らかにすることとステロイド離脱後の眼の状態の変化を評価すること目標に、西ベンガルの三次アイケアセンターで行われた前向き観察研究です。

この研究には、合計150人の1ヶ月以上ステロイド点眼薬を使用している春季カタルの小児、未成年の患者が含まれており、これらの患者に対して、登録期間中、眼圧および視力の測定を含む眼科検査が実施されました。

ステロイド離脱後、患者は、定期的にフォローアップされ、最終的に8週後の眼圧と最良矯正視力に何らかの改善が見られたかどうかを評価され、評価には、2つの集団(ステロイド離脱前および離脱後)に対応のあるt-検定が用い、p値0.05未満が有意水準とされました。

最も軽度の結膜の病変として発現した眼症状(74.7%)は粘液性分泌物で、緑内障のような深刻なステロイドの影響は、試験参加者の8.7%でした。

ステロイド点眼薬離脱の8週後には、眼圧の下降と視力の双方に顕著な改善(p<0.05)が見られました。

ステロイド点眼薬は、緑内障などの副作用の発現を最小限にとどめるために、眼圧を含む定期的な眼の検査と共に、医師の指示通りに使いましょう。


引用文献:Ocular effects of long term use of topical steroids among children and adolescents with vernal keratoconjunctivitis: a prospective observational study.
Mandal R, Maiti P, Sasmal NK, Sinha N, Gupta A, Das KS, Biswas MC.
J Indian Med Assoc. 2011 Oct;109(10):708-10, 712-3.