角膜屈折矯正手術(レーシック等)歴と緑内障の進行

今回ご紹介する研究は、角膜 屈折矯正手術(RCS)の履歴のある患者における緑内障の進行を評価することを目的として、追跡期間が平均2.7年の313人の緑内障患者(RCS群は34眼; 非RCS群は279眼)の合計313眼を対象として、実施されました。

緑内障の進行は、データ解析の熟練者による視神経乳頭の立体像と網膜神経線維束(RNFL)の写真、あるいは連続する視野(VF)のデータのいずれかによって決定されました。

収集されたデータは、単変量Cox比例ハザードモデル、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、RCS歴を含む潜在的リスク要因と緑内障の進行との関連性を決定しました。

結果は、以下のとおりでした。
調査された313眼のうち87眼(27.8%)において、視神経乳頭とRNFLの写真あるいはVFの評価のいずれかで追跡期間中に緑内障の進行が見られ、それぞれ、RCS群中では10眼(29.4%)、非RCS群中では77眼(27.6%)で緑内障の進行が見られたものの、緑内障進行の有病率は、2つの群間に差はありませんでした(P=0.482)。

すべての被験者において、基準年齢とVFパターン標準偏差(PSD群のそれぞれのハザード比は1.013と1.119、P=0.026とP<0.001)は、緑内障進行の重要な危険因子であり、多変量コックス比例ハザードによれば、RCS群および非RCS群の双方で、VF、PSD(それぞれ1.193、1.099、P<0.001とP<0.001)だけが、緑内障進行の重要な危険因子でした。

そして、すべてのこの研究の被験者において、VF 、PSDの基準値および年齢は、緑内障の進行に大きく影響したものの、RCS歴は緑内障進行の重要なリスク因子ではありませんでした、と、結んでいます。

角膜 屈折矯正手術歴は、緑内障の進行のリスク因子には、ならないようです。


引用文献:
Glaucoma progression in eyes with a history of refractive corneal surgery.
Kim YJ, Yun SC, Na JH, Tchah HW, Jung JJ, Sung KR.
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2012 Jul 3;53(8):4485-9. doi: 10.1167/iovs.12-9862.