緑内障に引き起こされる視神経症、その他の原因による視神経症と睡眠時無呼吸の間の関連性
今回ご紹介する研究は、睡眠時無呼吸と開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、非動脈性虚血性視神経障害(NAION)、視神経乳頭浮腫あるいは特発性頭蓋内圧亢進(IIH)の間に関連性が存在するかどうか、持続的気道陽圧法(CPAP)による治療が、これらの疾患の発生に影響を及ぼすかどうかを判断することを目的としています。
試験デザインは、後ろ向き長期的コホート研究です。
この研究では、2001年から2007年までlarge United States managed care networkに籍のある40歳以上の受益者の記録を記入することで調査する、という手法が取られました。開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、NAION、視神経乳頭浮腫およびIIHは、受益者の中から選ばれ、睡眠時無呼吸の状態によって層別されました。
そして、コックス回帰分析により、社会人口学的調整、眼の状態および病状の調整を加え、睡眠時無呼吸の有無による個々人において発生する各々の病状の危険性を決定しました。
結果は、以下のとおりでした。
この研究における2,259,061人の個々人のうち、156,336(6.9%)が1回以上、睡眠時無呼吸の診断を受けていました。
開放隅角緑内障の危険性は、睡眠時無呼吸をCPAPによって治療している個々人(調整ハザード比[HR] 0.99; 95% 信頼区間 [CI], 0.82 ~ 1.18)とCPAPによる治療を受けていない個々人(HR, 1.01; 95% CI, 0.98 to 1.05)、睡眠時無呼吸のない個々人の間で、違いはありませんでした。
同様のことが、正常眼圧緑内障を発症する危険性の評価でも認められました(P > 0.05双方の比較)。
NAIONが発症する著しく増加した危険性(HR, 1.16; 95% CI, 1.01 to 1.33)とIIH が発症する著しく増加した危険性(HR, 2.03; 95% CI, 1.65 to 2.49)は、睡眠時無呼吸のない個々人と比較してCPAPによる治療を受けた睡眠時無呼吸患者との間で立証することはできなかったものの、睡眠時無呼吸のない個々人と比較して、CPAPによる治療を受けていなかった睡眠時無呼吸のある個々人の間で、増加した危険性が認められました(P >0 .05双方の比較)。
そして、治療していない睡眠時無呼吸のある患者はIIHとNAIONの増加した危険性にさらされますので、臨床医は、これら睡眠時無呼吸の状態にある患者における、適切な検査を考慮するべき、と、結んでいます。
睡眠時無呼吸のある患者さんは、まず、専門医を受診し、その指示に従ってください。
引用文献:The association between glaucomatous and other causes of optic neuropathy and sleep apnea.
Stein JD, Kim DS, Mundy KM, Talwar N, Nan B, Chervin RD, Musch DC.
Am J Ophthalmol. 2011 Dec;152(6):989-998.e3. doi: 10.1016/j.ajo.2011.04.030.