点眼薬治療中の緑内障患者とドライアイ症候群

今回ご紹介する研究は、局所薬物療法中の緑内障患者のドライアイ症候群の有病率を明らかにすることを目的として実施されました。

この研究の対象は、50歳以上の1年間以上緑内障の局所薬物療法を受けている40人の患者(女性21人、男性19人)と、対照群は、過去3ヶ月間に眼科的治療を一切受けていない50歳以上の40人の健康な成人(女性20人、男性20人)から成っています。

患者はそれぞれ眼表面疾患指数質問用紙(OSDI)に回答し、シルマーテスト(※1)、涙液層破壊時間(TBUT)検査(※2)による評価を受けました。

結果は、以下のとおりでした。
対照群では、9人の患者(23%)がドライアイ症候群と診断され、主に、60歳以上の女性が罹患していました。
緑内障群では、25人の患者(63%)がドライアイ症候群を併発しており、TBUT検査ではその25人の患者全員に涙液の質に異常が、シルマーテストでは、23人の患者に涙液産生量の減少が見られ、OSDIでは、22人の患者が眼症状を報告しました。
対照群と異なり、緑内障患者では、性差はありませんでした。
年齢に関する事としては、対照群で70歳以上のドライアイ症候群の患者が存在し、また、緑内障群では、ドライアイ症候群を併発する患者の平均年齢は55歳でした。

そして、一般集団では、ドライアイ症候群は、主に60歳以上女性が罹患し、有病率は23%だったのに対し、緑内障患者は、涙液層と眼表面の完全性に影響する長期間の局所療法の結果、63%の患者が、ドライアイ症候群を併発していた、と、結んでいます。

緑内障を治療中の患者さんは、ドライアイ症候群を早期発見、治療するためにも、定期的な眼科の受診を欠かさないようにしてください。

※1:シルマーテスト
涙液分泌量の検査のことです

※2:涙液層破壊時間(TBUT)検査
BUT検査とも言い、涙液保持力を測定する検査のことです

引用文献:Ocular surface in glaucoma patients with topical treatment
Zemba M, Papadatu CA, Enache VE, Sarbu LN.
Oftalmologia. 2011;55(3):94-8. Romanian.