マウスにおけるゼルンボン食の紫外線Bに起因する白内障発生予防効果

今回ご紹介する研究は、紫外線B (UVB)に起因する白内障発生に対するゼルンボン食(※1)の予防効果の研究です。

この研究では、6週齢の合計50匹の雌のICRマウスを5つのグループ(各々10匹のマウス)に分け、空白制御対照群を除いて、昼間に7日間UVB(0.72J/cm(2)の/daily)に暴露させました。

UVB暴露マウスには、UVB暴露の1日前から栄養補助食品としてゼルンボンが、それぞれ0 mg/kg、1 mg/kg、10 mg/kg、100mg/kg与えられました。

7日目には、UVB暴露後の4時間に、すべてのマウスに対して白内障検査、レンズ混濁スコアリングを行い、レンズ中のMDA(マロンジアルデヒド)、GSH(グルタチオン)、GR(GSH還元酵素)、GPx(グルタチオン・ペルオキシダーゼ)、SOD(スーパーオキシド・ジスムターゼ)とどの程度の相関関係があるか調査しました。

UVB暴露後の100mg/kgのゼルンボン食は、減少するレンズ混濁スコア(p<0.001)、MDA(p<0.001)を減少させることに有効で、更に、レンズ内のGSHとGRのレベルが有意に増加させました(両方ともp<0.001)。

SODも100mg/kg(p=0.115)ゼルンボン食群で増加されたものの、UVB暴露後のGPx(p=0.171)レベルは、ゼルンボン食無し群と比較して低い結果でした。

そして、これらの結果は、ゼルンボンが、過酸化脂質を減少させ、内因性抗酸化剤GSHレベルを上げ、GR活性を増強することによって、UVBに起因する白内障発生から眼を保護する可能性を示唆しています、と結んでいます。

もちろんゼルンボンは、有望な物質でしょうが、これは、あくまで動物実験の話です。
ヒトにおける検証が進み、良い結果が出ることを願っています。

※1:ゼルンボン
白ウコンの8割を占める成分で、香料や抗がん薬にも応用できると期待されている成分です。


引用文献:Dietary zerumbone prevents against ultraviolet B-induced cataractogenesis in the mouse.
Chen BY, Lin DP, Su KC, Chen YL, Wu CY, Teng MC, Tsai YT, Sun CY, Wang SR, Chang HH.
Mol Vis. 2011 Mar 12;17:723-30.