開放隅角緑内障の危険因子としての近視

今回ご紹介する研究は、解析的研究の系統的レビューおよびメタ分析という研究デザインで、近視と開放隅角緑内障の関係について検討されたものです。

この研究では、PubMed、Embaseおよび参考文献一覧表に1994年から2010年の間に掲載された48,161人を対象とした13の論文が研究対象として選ばれ、それぞれの研究に特有のオッズ比(※1)は、変量効果モデルという手法を用いて統合されました。

主要転帰尺度は、開放隅角緑内障の危険因子としての近視の95%信頼区間(CIs)オッズ比です。

主な分析結果には、11の母集団に基づく横断的研究からのデータが含まれており、結果は、以下のとおりでした。
11のリスクの点推定値に基づいた近視と緑内障の間の関連性について集められたオッズ比は、1.92(95%CI、1.54-2.38)でした。
7つのリスクの点推定値に基づいて集められたオッズ比は、軽度の近視(-3 Dまでの近視)と緑内障との関連性で1.65(1.26-2.17)、強度の近視(-3 D以下の近視)と緑内障との関連性で2.46(1.93-3.15)でした。
任意の近視と緑内障との関連性(I(2)=53%(2))についての報告および軽度の近視と緑内障との関連性(I(2)=29%(2))についての報告では、関連性に相当な差異がありましたが、強度の近視および緑内障の関連性(I(2)=0%(2))についての報告は、そうではありませんでした。
相当な差異を生じる一因となる研究を省いた後に集められたオッズ比は、任意の近視と緑内障で1.88 (1.60-2.20)、軽度の近視と緑内障で1.77(1.41-2.23)でした。

結論として著者は、近視であることは、開放隅角緑内障になるリスクが増加すると結論づけました。
また、この論文で論述されたどの論文についても、所有権や商業的利益と無関係であると付け加えています。

特に強度の近視の方は、開放遇角緑内障を早期に発見するためにも、定期的な眼科の受信をお勧めいたします。

※1:オッズ比
ある事象の起こりやすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度のことです。

※2:点推定値
母数を推測するために導き出された統計量の一つの値(平均値など)のことです。

引用文献:Myopia as a risk factor for open-angle glaucoma: a systematic review and meta-analysis.
Marcus MW, de Vries MM, Junoy Montolio FG, Jansonius NM.
Ophthalmology. 2011 Oct;118(10):1989-1994.e2. doi: 10.1016/j.ophtha.2011.03.012. Review.