トピラマート服用に伴う緑内障発症のリスク
トピラマートは、てんかん発作を予防する薬剤で、緑内障の副作用があることは、広く知られている薬剤です。今回ご紹介する研究は、トピラマート服用開始後の緑内障発症のリスクを調査することを目的として実施されました。
研究手法は、管理されたデータベースを用いた地域住民をベースとした後ろ向きコホート研究で、2001年から2007年の間に初めてトピラマートの処方を受けた1956人の患者から成っています。
比較する群は、トピラマートを処方されなかった任意の15648人の患者群です。
そして、緑内障と診断された患者を識別するために、サンプリングされた患者は、服用開始日からの1年間、それぞれ追跡調査されました。
結果は、以下のとおりです。
トピラマート服用群において、薬剤服用開始日からの最初の1ヶ月間に0.36%、2~3ヶ月後に0.05%、4~12ヶ月後に0.66%の被験者で緑内障と診断されました。
また、比較群においては、薬剤服用開始日からの最初の1ヶ月間に0.04%、2~3ヶ月後に0.11%、4~12ヶ月後に0.46%の被験者で緑内障と診断されました。
潜在的交絡因子(※1)を調節した後のトピラマート服用群は、服用開始日からの最初の1ヶ月間での緑内障と診断される危険性が、比較群より7.41倍大きな危険性があることが解りました。
しかしながら、この関連性について、指標日から2~3ヶ月後、4~12ヶ月後の期間では、2つの群間に統計的な有意差はありませんでした。
この研究では、結論として、トピラマート服用開始後1ヶ月の間は、緑内障と診察される危険性が著しく増加するとしています。
この研究は、台湾における研究ですが、トピラマートを処方された場合、緑内障を早期に発見するためにも、服用開始1ヶ月後には、一度、眼科を受信することをお勧めいたします。
※1:潜在的交絡因子
特定のリスク因子(ここでは、トピラマートを服用すること)の健康に与える影響が、他のリスク因子によって歪められることを交絡が起きているという。交絡を起こす可能性があるリスク因子を潜在的交絡因子という。
引用文献:Topiramate Use and the Risk of Glaucoma Development: A Population-Based Follow-up Study.
Ho JD, Keller JJ, Tsai CY, Liou SW, Chang CJ, Lin HC.
Am J Ophthalmol. 2012 Sep 27.