新しい改良を加えたHotz法の手術結果
今回ご紹介する研究は、睫毛(しょうもう)内反治療のために新しい改良を加えたHotz(ホッツ)法(※1)の手術結果の報告です。
この研究は、29人の患者(22人の女性、7人の男性、平均年齢8.4年、年齢範囲2~27歳)の49枚の下眼瞼を用いて行われました。
また、対象患者は、角膜炎の有無にかかわらず、睫毛内反および重大な眼炎症を引き起こす流涙症、羞明、眼漏と診断された患者をすべて含みました。
今回施行された手術は、下眼瞼牽引筋の前層と前部瞼板表面とを分割すること、下瞼板辺縁部の明確な同定、そして、瞼板および下眼瞼牽引筋への皮膚の補強をすることを基盤としています。
手術結果は、まつ毛と眼球の間に接触がなかった場合は「著効」とし、期間中5回未満の無症候性のまつ毛と眼球の直接接触があった場合は「有効」として、 また、大多数のまつ毛が眼球と接触した状態で残ったか、残った内向きのまつ毛の存在による炎症・角膜炎の持続がある場合を「無効」と定義し、集計されました。
手術後、27.4か月(フォローアップ期間範囲:3~50ヶ月)の中間フォローアップ期間で、40枚の眼瞼(82%)が「著効」、7枚の眼瞼(14%)が「有効」、2枚の眼瞼(4%)が「無効」と判断されました。
今回の手術が成功した症例(「著効」、「有効」と判断された症例)は、追加の外科的介入を必要とせず、フォローアップ期間の再発はありませんでした。
また、「無効」の結果となった2枚の眼瞼は、同じ技術を用いて再手術され、手術は、2例ともに成功しました。
加えて、術後合併症も、発症しませんでした。
この研究で加えられた下眼瞼牽引筋の前層の識別および分割、下瞼板辺縁部および下眼瞼牽引筋への皮膚の補強を基盤とした改良されたHotz法は、睫毛内反治療の有用な予測技法であり、結果として、手術を高い成功率に改善しました。
※1Hotz(ホッツ)法
睫毛内反の手術に用いる術式のこと。
皮膚とともに瞼板の一部を外側が広い楔状(けつじょう)になるように切り取り、皮膚にそろえて縫い、まつ毛を外に倒れさせ、睫毛内反を解消する。
引用文献:Ophthalmology. 2009 Nov;116(11):2224-9. Epub 2009 Sep 10.
Cilial entropion: surgical outcome with a new modification of the Hotz procedure.