眼窩隔膜の後側面は靭帯により強化される
今回も眼瞼下垂に関する文献をご紹介いたします。
この研究では、眼窩(がんか)隔膜(※1)の後側面を強化する靭帯について研究するため、アジア人の8体の検体の16の上眼瞼が解剖されました。
10枚の上眼瞼は、眼窩隔膜の後側面に付着した靭帯と、関連する靱帯構造との関係を研究するために、肉眼的に解剖されました。
また、6枚の上眼瞼は、隔壁中の靭帯固定部位を解明するための組織切片として用いられました。
結果は、以下の通りでした。
・靭帯は、すべての上眼瞼において、両方の上下眼瞼中の眼窩隔膜の後側面に付着していました。
・上眼瞼中のいくつかの隔壁は、側域において、下部に配置された横行靭帯に支持されていました。
・すべての眼瞼において、ロックウッド靭帯(※2)の一部は、下眼瞼中の眼窩隔膜の後側面に付着していました。
・組織学的に、靭帯は眼窩隔膜の後側面に固定されていました。
そして、この論文では、靭帯は眼窩隔膜の背面に付着しており、これらの靭帯は、関連する靭帯と連携して、眼窩隔膜の脆弱性を補うものと思われる、と結論づけています。
この解剖学的研究も、先月ご紹介した研究と同様、その後のより簡易で、安全、成功率の高い新しい眼瞼下垂の手術法の開発に役立っています。
※1:眼窩隔膜
当院ホームページ「上眼瞼の臨床解剖」をご参照下さい。
http://www.ideganka.or.jp/scholar_r_ophthalmic.php
※2:ロックウッド靭帯
眼球を吊るすハンモック上の靱帯のことです。
引用文献:Jpn J Ophthalmol. 2005 Nov-Dec;49(6):477-80.