食事の内容と白内障のリスクの関係
現在、加齢が白内障の主な原因とされていますが、2011年5月に、イギリスの研究者から、白内障と食事との関連に注目した文献が発表されましたので、ご紹介したいと思います。
この研究は、従来の食事と白内障のリスクに関する研究のように、特定の栄養素あるいは健康食事インデックス(healthy eating indexes※1)に注目するのではなく、菜食主義者のような食事の内容を特定できるグループを対象とし、いろいろな食品を食べている人の集団と菜食主義者を多く含んでいる人の集団とにおける食事と白内障のリスクの関連について調査されています。
また、この研究は、27670人の40歳以上の糖尿病でない参加者の自己報告を分析するという手法を用いています。
結果は、以下のとおりです。
肉をたくさん食べる人たち(1日100 g以上)と比べて、
適度に肉を食べる人たち(1日50-99g)の集団の罹患率比率は0.96
肉をあまり食べない人たち(1日50g未満) の集団の罹患率比率は0.85
魚を中心に食べる人達の集団の罹患率比率は0.79
菜食主義者の集団の罹患率比率は0.70
完全菜食主義者の集団の罹患率比率は0.60
白内障のリスクとそれぞれの食事をするグループの間に、強い関連があり、菜食主義者は、肉を食べる人より白内障のリスクが低くなっています。
勿論これは、イギリス人における研究結果ですので、そのまま日本人に当てはめるわけには行きません。また、これは、白内障に限った結果ですので、むやみに動物性たんぱく質、動物性脂肪を嫌って、体を維持するための栄養のバランスを維持できず、他の疾患にかかってしまっては、元も子もありません。
まずは、体の状態にあったバランスのとれた食事を心がけることが必要です。一度、ご自身の食事のバランスを確認するために栄養士さんを訪ねてみるのも良いかもしれませんね。
※1:healthy eating indexes
米国農務省が独自に作成した12種類の食品グループの摂取量から健康的な食生活を評価するシステム
引用文献:
Am J Clin Nutr. 2011 May;93(5):1128-35. Epub 2011 Mar 23.
Diet, vegetarianism, and cataract risk.