血管新生緑内障における眼の疼痛とベバシズマブ

まずは、3月11日に発生した「東北関東大震災」に被災された多くの方々に対し、深くお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、一刻も早い復興をお祈り申し上げます。

 2月に血管新生緑内障(※1)における眼の疼痛の緩和に対しての、硝子体内に注射したベバシズマブの効果を確認した文献が発表されました。

 この文献は、42人の患者(44眼)を6ヶ月フォローアップした臨床試験で、文献によると、ベバシズマブの硝子体内投与1週間後には、患者さんの主観的な疼痛スコアは大きく下がり、その効果は、追跡している期間(6ヶ月)続いたとのことです。

 しかしながら一方で、ベバシズマブの硝子体内投与では、隅角(※2)の角度が閉塞したことにより上がった眼圧を下げることは証明できず、血管新生緑内障の治療には、いまだ従来通りの医学的処置、レーザー手術などの外科的処置が必要である、ともしています。

 ベバシズマブを血管新生緑内障の治療に使った論文は、国内外で相当数が執筆されています。それらの研究から、最も安全で有効な使用法が、早く見出されて欲しいものです。

※1 血管新生緑内障:隅角、虹彩に新しく作られた新生血管が原因で発症する緑内障
※2 隅角:角膜と虹彩の根元が交わるところ


引用文献:
Intravitreal bevacizumab in refractory neovascular glaucoma: a prospective, observational case series.
Kotecha A, Spratt A, Ogunbowale L, Dell'omo R, Kulkarni A, Bunce C, Franks WA.
Arch Ophthalmol. 2011 Feb;129(2):145-50.