眼圧と緑内障・高眼圧症の研究結果

従来より、多くの緑内障、また、高眼圧症など眼圧が上がる疾患の原因として、年齢、血圧、肥満、ステロイドホルモンが考えられています。しかし、何がどの程度関与しているのかは、いまだ具体的に示されておらず、現在もその具体化のための努力が続けられています。
2010年8月の「久米島研究」において、その具体化に向けての疫学研究の結果が発表されました。

 久米島研究は、「久米島における地域住民を対象にした研究で、眼圧の分布と目の形、その関連性の分析」を目的とした疫学調査です。

 発表された結果によると、40歳以上を対象とした調査で、高い眼圧と相当な関連性があるものとして、対象とした年齢層の中でも若年層であること、高いBMI値(※1)、高い最大血圧、糖尿病歴、角膜の中央の厚さ、急な角膜曲率、および、長い眼軸長があったとされています。
 また、この結果から、眼圧が高い特定のグループを定義出来るかもしれない、ともしています。

 このような研究が更に進めば、眼圧の高さと生活習慣病に関連性があるという結果が出た場合、眼圧の上昇を抑え、緑内障、高眼圧症の発症を回避するために生活習慣病をコントロールするなど、眼圧の上昇を抑えるための手段の選択肢が増えることになり、患者さんにとって有益なものになることは間違いありません。
研究のさらなる成果発表を期待しています。


※1 BMI値:肥満度を確認するための指標としての標準体重のことです。


引用文献:
Am J Ophthalmol. 2010 Aug;150(2):279-86. Epub 2010 Jun 8.
Intraocular pressure and related systemic and ocular biometric factors in a population-based study in Japan: the Kumejima study.