新高齢者医療制度の行方
新高齢者医療制度。聞き慣れない言葉です。「年齢で差別している」と国民的な批判を招いた後期高齢者医療制度を廃止し、これに代わる新しい高齢者の医療制度のことです。政府は平成25年4月からの新制度実施を目指して検討をすすめ、来年の通常国会に法案を提出したいとしています。
具体的に検討をすすめているのは厚生労働省と高齢者医療制度改革会議という審議会です。高齢者医療制度改革会議は、関係団体の代表、高齢者の代表、学識経験者など19名から構成され、昨年11月から月1回のペースで検討を重ねてきているようです。
この検討のなかで、有力になっているのは、65歳以上は原則として全員国民健康保険に加入し、現在市町村の単位となっている国民健康保険を都道府県単位に統合するという案です。
しかし、この案の肝心な点は、国民健康保険に加入したとしても高齢者(65歳以上または75歳以上)の保険料算定や財政運営は別建てでするということです。つまり、後期高齢者医療と同じやり方ということです。別建てとなると、医療費の上昇によって保険料があがるシステムも変わりませんし、収入のない方も負担するという仕組みも変わりません。
これでは、何のために後期高齢者医療を廃止し、新しい高齢者の医療制度をつくるかわかりません。高齢者だと差別されることなく、安心して医療を受けられ、所得に応じて無理なく負担するというのが国民の願いだと思うのですが。(M)