「事業仕分け」にもの申す

今年もよろしくお願いいたします。昨年の漢字は「新」でした。確かに、鳩山「新」内閣が誕生し、「新」型インフルエンザも発生しました。それだけではなく、景気は相変わらずどん底で、起業の「新」規採用が少なく、国民生活が厳しくなりました。今年は、明るい話題がたくさんあることを願っています。

 昨年の新しい試みに「事業仕分け」があります。これは、行政刷新会議に設置された3つのワーキンググループが、国の事業として、ふさわしいか判定するものです。国民の多くは、税金の無駄使いに大ナタをふるってもらえるものと期待しました。確かにそういう部分もあったようです。

 しかし、医療の分野に関する「事業仕分け」の結果は、耳を疑うような結論だらけでした。「入院したときの食費や居住費を引き上げろ」「漢方薬や湿布薬は保険外にしろ」「医師確保、救急・周産期対策の補助金を半額にしろ」「80歳以上で20本以上の自分の歯を保つ8020運動の補助金は必要ない」など、昨年、民主党中心の政権が発足したのに、前の自公政権と変わりありません。科学やスポーツの分野でも同様のことが起こっているようです。

 「事業仕分け」で大切にされている視点は、「効率」や「費用対効果」のようです。仕分けしているメンバーをみると、学者の他に証券会社や大会社の役員や経営コンサルタントが相当いるようです。この分野は「赤字」だから、「効率」が悪いからという理由で、廃止や見直しを決めているのです。医療が「黒字」や「効率」だけを重視したらどうなるのでしょうか。「効率」以上に大切な「誰でも受けられること」「安全であること」がないがしろにされるでしょう。これでは、国民の健康や生命にとって大問題です。

 今回、「事業仕分け」の対象になったのは、財務省が選定した一部の事業といいます。今回、選定されなかった事業も含めて、無駄な公共事業、官僚の天下りのための法人への補助金、米軍への思いやり予算、海外大使館での無駄使いなど無駄な予算はどんどん削減するための「事業仕分け」には大賛成です。(M)