ホームレスと生活保護
最近、筆者が受けた相談です。Aさんは50歳代のホームレスです。7年間、橋の下などに「住んでいた」そうです。現在は、更生保護の施設に入っていますが、それは、Aさんが万引きをして、裁判で執行猶予の判決を受けたためだということです。食事もありますし雨露は何とかしのげます。しかし、そこからは、早晩出なければなりません。
Aさんは、中学を卒業すると働き始め、いくつかの仕事を経験しました。Aさんは働く意欲を持っていますが、次第に職に就くことができなくなりました。病気を患い、足が少し不自由で、片目もほとんど見えなくなったからです。ホームレスになったのはこんな理由からでした。
ホームレスが生活保護の申請をしようとすると、住所が定まっていないという理由で役所の窓口で申請書をもらえないようです。しかし、弁護士は「住所が定まっていない場合は保護を受けられない」とは生活保護法のどこにも書いていないと言います。生活保護を需給することができなければ、医療も受けられません。保険証もお金もないからです。
生活保護受給者の自己責任を問う声もあります。国や地方の予算は限られているとの行政側の主張もあります。申請者がどんどん増加しているにもかかわらず、役所の側では人員削減が横行し、充分な審査ができないとの話も聞きました。しかし、Aさんのように、生活保護を必要としている人がたくさんいるというのも事実です。最近では、「派遣切り」によって、職と住居の両方を奪われるということも増加しています。
なんといっても生活保護は、最後の命綱です。残念ながら、現状の生活保護は、ホームレスには冷たい制度となっています。(M)