雇用不安と大企業の責任
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昨年暮れから雇用不安が広がっています。自動車、電機産業などで3万人を超える労働者などが「非正規切り」や「派遣切り」にあっているというのです。それだけではありません。今年の春の採用予定者の内定取り消しが相次いでいるというのです。
働く場を失っているのは、派遣労働者や期間工などいわゆる非正規労働者です。派遣労働者は、各地に「派遣」されるために、派遣元企業が借り上げたアパートなどに住んでいます。したがって、働く場を失えば、ただちに住む場所も失うことになります。貯金や頼る人がいなければ、すぐに衣食住を含んだ生活の危機に結びつくことになります。
さらに、規制緩和を名目にこうした非正規労働者が飛躍的に増加していることも問題を深刻化している原因ともなっています。ヨーロッパでは1割程度なのに、日本では、労働者の3分の1が非正規労働者です。最近問題となっているワーキングプアの原因もこうした非正規労働者の増加が背景としてあるのです。
「非正規切り」「派遣切り」を率先してやっているのは、トヨタ、ソニー、ホンダ、キャノンなど世界でも有数の日本の大企業です。こうした企業がすでに決算で赤字になっているのではありません。世界的な不況のなかで今後生産を減らしていくために、「非正規切り」などをしているのです。これまでの巨額の積立金もありますし、株主配当も行っています。「非正規切り」や「派遣切り」を行う前に、よほど無能な経営者でない限り打てる手は山ほどあるはずです。
雇用不安が続けば、国内の消費不況にもつながり、さらに深刻な不況に陥っていくでしょう。そうして、結局は大企業自身の首を絞めることにもなるはずです。日本のトップ企業は、課せられた「社会的責任」を果たすことが今こそ求められているのです。(M)