退職後の健康保険

今回は、筆者に寄せられた実際の相談事例からのお話しです。
奥さんとこども2人のいるAさんは、会社を4月に退職後、国民健康保険に加入したそうです。市から送られてきた国民健康保険の保険税の納付書をみてびっくり。年68万円で月額にすると5.7万弱。これには、介護保険料も含まれているそうです。しかし、国民年金の保険料や住民税等の税金は含まれていません。

Aさんは、いま、失業中で、職さがしの真っ最中て、雇用保険の給付金以外の収入はありません。Aさんは、あわてて市役所に相談に行きましたが、保険税の減免の基準には該当しないといわれ、目の前が真っ暗になったそうです。

国民健康保険の保険税は、加入者の昨年の所得、世帯での加入人数、1世帯あたりの平等割を基準に算出されます。ですから、Aさんの場合、現在の失業中の所得ではなく、昨年フルに給料やボーナスをもらっていましたから、それを基準に算出されたわけです。

でも、ここで、健康保険制度に詳しい方なら、任意継続をしておけばよかったんじゃないのという意見もでるはずです。2か月以上継続して健康保険に加入していた方は、2年間「任意継続被保険者」になることができます。任意継続の場合は、単純に今までの保険料の2倍になると誤解している方がいるようですが、そうではありません。白分の退職時の標準報酬月額と全体の平均報酬月額(現在は28万)と比較して、低い方が報酬月額となるので、28万より標準報酬月額が高い方は2倍より低い保険料額となります。

Aさんの場合を計算してみますと、年額31万円でした。国民健康保険の半額以下というのですから驚きです。残念ながら、この任意継続の手続きは退職後20日以内に本人が行うことになっているので、退職後何か月も過ぎた今は行うことはできません。

今回は、つくづく考えさせられました。知らないと損するこういう社会でいいのかと。

(M)