偽りのない世の中に

あけましておめでとうございます。
 昨年の世相をあらわす漢字は「偽」だそうです。耐震強度の「偽装」、産地や内容を偽る「食品偽装」、本当は派遣労働なのにそれをごまかす「偽装請負」など枚挙にいとまがありません。ボクシングや相撲というスポーツの世界でもこうした「偽」の姿勢が目立ちました。接待ゴルフ三昧の元防衛事務次官の「偽」にも驚かされました。極めつけの「偽」は、「最後の1人、最後の1円まで年金を支払う」という公約を「忘れた」という総理大臣の言葉です。
 社会全体の荒廃を感じます。どんな手段を使っても「儲かればいい」「売れればいい」「勝てばいい」「ごまかせばいい」などの思想が台頭してきているのです。規制緩和や競争社会の行き過ぎがこうした弊害をもたらしているとしか考えられません。「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
 もうひとつ考えたいことは、企業や政治家の社会的責任の重さです。企業と政治家をいっしょにはできませんが、社会のなかでその役割が問い直されている点では同じです。社会的な貢献を忘れて、自己利益優先となれば、こうした「偽」を犯すことにつながります。
 今年は、この「偽」に対して「真」や「正」がとってかわることを願ってやみません。
 (M)偽りのない世の中に