希望格差社会

最近、貧困や格差の拡大が社会的な注目をあびています。文庫本として最近発刊された「希望格差社会」(著者は山田昌弘東京学芸大学教授)も格差について考える1冊です。

 この本のなかで、山田氏は「1990年を境として日本社会の生活の不安定さが増している」と説きます。その不安定さは「リスク化」と「二極化」という2つのキーワードで捉えられると言います。「リスク化」とは日常生活がリスクを伴ったものになっていることです。大学を出てもフリーターにしかなれない若者もいるし、大企業に入社しても倒産や解雇とは無縁ではいられないのです。「二極化」とは、中流社会の崩壊、格差の再拡大が始まっているということです。企業の業績や労働者の賃金などあらゆる面に、「勝ち組、負け組み」が存在するようになっています。

 山田氏はさらにこのような生活の不安定さが人々の社会意識までも不安定なものにしていると言います。多くの人々が苦労しても報われないのであれば、努力しても無駄と思い始める−つまり希望格差社会の到来ということになるのです。このことが、自殺の増加、青少年犯罪の増加、ひきこもり・不登校の増加、児童虐待の増加など深刻化している社会問題の原因になっていると言うのです。(M)