退院してください

療養病床(慢性疾患などで長期療養を必要とする患者さんの入院ベッド)を削減することが6月に成立した医療改革法案で決まりました。具体的に言うと全国に療養病床は38万のベッドがありますが、これを15万ベッドにするというのです。38万-15万=23万ですね。現在入院している23万人の患者さんが退院をお願いされるかもしれないというのです。一部の療養病床は老人施設などに変更されるので、そんなには多くはないとの説明もあります。

 厚生労働省の考えは、この23万人の患者さんは本来、医療を必要としない社会的入院なのだから、在宅や有料老人ホームに移るのが本来のあり方なのだと説明しています。しかし、本当は医療を必要としない患者さんなのではなく、慢性的な疾患なので、医師の指示の見直しを必要としない患者さんだったのです。意図的なねじ曲げがあったのではないかと国会審議の中で問題になりました。実際的に療養病床に入院している患者さんが、在宅にすぐに戻れるかといえば、介護者の確保や住宅のリフォームなどさまざまな条件をクリアしなければなりません。在宅で介護を経験した方の話をうかがうと、在宅介護の充実と言われているわりには、まだまだ社会的な介護保障は不十分だそうです。逆に、この4月から介護保険の改定で介護サービスが使えなくなったそうです。

 県内の療養病床は2226ベッドだということです。同じ比率で削減されるとすれば、1347ベッドが削減され、残るは879ベッドということになります。新聞報道によれば、県内関係の自民党、公明党の国会議員はこうした療養病床の削減に賛成したそうです。「介護難民」「医療難民」という言葉も出てきているようですが、こうしたことが現実になったら、責任を取ってもらいたい気持ちです。

(M)