歯科医院の苦悩

みなさんは歯科医院にかかっていますか?入れ歯をしたり、虫歯や歯周病の治療をしたりと歯を大事にすることは、体全体の健康につながります。

 ところで、こうした歯の治療をする歯科医院で大変な問題が起こっています。それは、ひとりひとりの治療について、患者さんへの説明文書や患者さんの同意を確認する署名、それらをカルテに記録として残すことなどの事務作業が4月から大幅に増えたのです。こうしたことは、今まで患者さんと歯科医師・スタッフとのコミュニケーション(口頭での説明と納得)として行われることが多かったのです。4月からはそれだけではだめだということを厚生労働大臣が決めたのです。

 一見、患者さんのことを思って決めたようにみえますが、このことで大きな問題が起こってきているのです。それは、こうした事務作業に多くの時間が割かれるということです。ある調査では、平均で1日94分の作業時間になるというのです。1日2時間というものもあります。こうなると1日の作業時間の約2割がこうした時間に費やされるというのです。こうなるとどうなるでしょうか。同じスタッフ、同じ診療時間でやろうとすると、今まで患者さんの診療に直接あてられる時間が減少してしまうということになります。つまり結局は患者さんとの対話の時間や治療時間を短くせざるをえないことになるのです。これを回避するには歯科医師や歯科スタッフが働く時間を長くせざるをえなくなります。しかし、長く働くことを厚生労働大臣が報酬として手当てしてくれるわけではありません。

 しかも、患者さんの多くは、こうした文書を渡されるよりも、実際の診療にあてられる時間を増やしたり、診療内容を充実してほしいと思っているのです。歯科医院も患者さんも望んでいないことが、突然お上によって決まってしまいます。やっぱりこの国はおかしいのではないでしょうか。

(M)