診療報酬の引き下げ
4月から、病医院に支払われる診療報酬が3.16%引き下げられました。診療報酬とは、医療機関が患者さんに行った治療行為に対する、国が定める公定価格です。診療報酬の財源は、健康保険の加入者と事業主が支払う保険料と国などの財政から支出される公費です。診療報酬は、治療行為を行った医療機関の請求に基づいて支払基金などから医療機関に支払われます。
診療報酬の引き下げは病医院に何をもたらすのでしょうか?病医院は、この診療報酬から職員の給料を支払ったり、医療機器を買ったり、施設を新しくしていきます。つまり、医療報酬は病医院が現在の機能を維持し、新しい医療に取り組むことを保障するものだということです。診療報酬が下がった場合には、同じ患者さんを診て、同じ治療行為をしていても収入が減るのですから、病医院としては、積立金があれば別ですが、他に収入を増やすか、支出を減らすしかありません。
それでは、診療報酬の引き下げは患者さんに何をもたらすのでしょうか?患者さんの支払う窓口負担の減少につながるといわれています。これは患者さんにとってうれしい話のようですが、実は違うのです。というのは、例えば、病医院の収入が下がり、その対策として看護師さんや事務職員(人件費)を減らしたとします。そうなれば、患者さんの待つ時間が増えたり、患者さんの要望に丁寧に応えることができにくくなったり、最悪の場合は、職員のゆとりがなくなり、安全対策にも支障が出てくる場合があるのです。もちろんこうならないように病医院としては努力や注意をしていくのは当然のことですが、限界があるのです。その他にも、医療機器や設備が更新できなくなれば、よりよい医療を安全に提供していくことが出来にくくなっていくのです。場合によっては病医院そのものがなくなりかねません。
ですから、診療報酬が低ければ低いほど良いなんてことは決してないのです。
(M)