医療制度改革と患者負担増 その2

前月では、政府と自民・公明両党が決定した「医療制度改革大網」の内容として、高齢者の窓口負担増と高齢者の医療制度の創設について触れました。

 この「大網」では、高齢者に負担増を求めるのは、少子高齢化社会のなか、現役で働いている世代の負担を軽減するために行うようなことを言っています。しかし、「大網」では、高齢者だけではなく、現役で働いている世代にも現在加入している医療保険の保険料の引き上げや新たな負担を求めています。

 現役世代の多くが加入している政府管掌健康保険(政府健保)を国と切り離し、都道府県単位の公法人の運営に変更します。都道府県単位の運営となれば、地域の医療費を反映した保険料が可能になります。現在は全国一律の保険料ですが、これからは医療費をたくさん使う県の保険料は引き上げてよいということになるわけです。

 もうひとつの新たな負担という点では、前回お話した高齢者医療制度への財政負担です。この制度への現役世代の負担は、窓口負担を除いた全体の4割です。これをまかなうために、「大網」では明示されていませんが、介護保険が創設されたときのように新たな保険料が月々の給料から天引きされるかも知れません。

(M)