高齢者医療保険制度の行方

医療保険制度で現在「改革」の必要性が叫ばれているのが高齢者医療制度を創設するかどうかという問題です。厚生労働省がまとめた構造によれば、75歳以上の高齢者を対象にした保険制度をつくるのは、2008年度からというからまだ先のことといえばそれまでですが、高齢者の医療費をいかに抑制するかということにからめて、政府では早くから検討されていました。

 医療費の抑制のためにだされている案ですので、もし、高齢者医療制度がつくられると高齢者(70歳以上の方)の窓口負担の引き上げ(現在の1割・2割負担を1割・3割負担や、2割・3割負担に)はもちろんのこと保険料として何らかの額を全員から徴収することなどが盛り込まれる可能性があります。

 厚生労働省は、この秋に高齢者医療保険制度の創設を含めた医療費抑制策のたたき台をまとめ、来年の通常国会に関連法案の提出をめざすことにしているそうです。こうした背景には、経済財政諮問会議や財政省が強く求めている一方的な医療費抑制の声があるわけです。

 しかし、高齢者の自己負担の増大は、これまでの受診抑制につながっており、国民の健康を同守るかという視点を欠いた財政優先の論議は問題があると思えてなりません。

(M)