アスベスト(石綿)とがん
最近の話題にアスベストの健康被害の問題がある。アスベストとは石綿のことである。アスベストの燃えにくいという性質を利用して、ほとんどの建築材料などに使われているという。建築資材だけでなく、発電所や造船などでも多く使用されている。アスベストの製造、使用が原則的に禁止されたのは昨年のことだ。
このアスベストを製造、使用する企業の従業員や家族、付近の住民に中皮腫というがんが多いことが報告され、この9年間で9千人以上が亡くなっているという。中皮腫とは、胸膜や腹膜から発生する悪性のがんで、発見しにくく、有効な治療法が確立していないという。潜伏期間が30年から40年以上と長く、今後の患者数の増加が危惧されている。
問題なのは、このアスベストの製造、使用について、危険性が国際的には早くから(1964年ごろから)指摘されていたにもかかわらず、日本政府は有効な対策をとってこなかったということだ。逆に、70年代には、輸入が急増していったという。使用、製造、輸入の全面的な禁止とともに、アスベスト健康被害に対して、労災や公害認定など有効な対策をとってもらいたい。
(M)