眼瞼下垂について(3)
今回は先天性下垂と後天性下垂の見分け方です。先天性下垂は上を向いた時に十分に上がらないばかりか、下を向いた時に十分に下がりません。ちょっと変な気がしますが、要するに先天性下垂は上にも下にもよく動かないのです。
それに対して後天性下垂は、まぶたが下がっていますが、まぶたそのものは上にも下にもよく動きます。ここがもっとも違う点で、両者を区別する最大のポイントです。
上まぶたには、その中にまぶたを持ち上げる筋肉が2枚重なって入っています。そうして手前の浅いほうにある筋肉は自分の意思で縮めてまぶたを上げることができます。2枚目の並んで奥のほうにある筋肉は自分の意思で縮めて上げることはできません。心臓が自分の意思で早く出来ないのと同じで、自律神経という神経の支配を受けていてビックリした時などに収縮します。そのほか、物をみようとすると自分の意思に関係なく収縮します。
先天性下垂はこの手前の筋肉の発育異常です。そして発育異常にはほとんど普通と変わりないものから全然筋肉が働かない(縮まらない)ものまで千差万別です。
そこでだいたい軽症、中等度、重症に分けています。先天性下垂の重症はまぶたが0~4mmしか上がらないものをいいます。中等度は4~8mm、軽症は8mm以上をいいます。日本人の平均値はだいたい13mmくらいです。
まぶたの移動距離の測り方は、初め下方視させ、次に上方視させて、その間の上まぶたの縁の移動距離をスケールで測ります。