医療費大改定
4月号より井出眼科病院のホームページの表紙を久しぶりに更新しました。如何でしょうか。
今年は2年に一度行われる医療費の大改定の年にあたります。この原稿は3月中旬に書いていますので、具体的な影響はまだわかりませんが、今回の改定では白内障の手術については大きな変更はなかったようです。2年前の改定では初めて白内障手術料そのものについての実質的なマイナス改定が行なわれ、医療費削減の矛先が主に白内障の手術料を下げることに向けられたのでした。
白内障について今回もさらに著しいマイナス改定が行なわれるという噂でしたが、そのようなことはありませんでした。白内障の手術料については眼科手術医全体がこの50年、絶えずfast surgeryを心掛けてきた努力がここにきて裏目に出て、単位時間で計算すれば白内障の手術料が高すぎるのではないかという不評が他科の手術医から出て、大変不利な状態になってしまいました。しかし、白内障手術は安全なしかも回復手術で治癒した患者さんの経済効果を考えれば(もし手術をしないで患者さんが働けなくてクビになったり、失明して生活保護などを受けるようになることを考えれば)日本経済にとっても、厚生省の予算の節約になることを考えても抜群に有効な手術なのです。
しかしその他にもう一つ問題があって、眼科医の中でも白内障手術をする者は一部であるといわれ(山形県のことを考えると本当にそうでしょうか)、それ故に白内障の手術料を削ってでも睫毛乱生抜去(逆さまつげを抜くこと)などのような技術料に医療費を振り分けるべきであるという主旨の議論も行なわれており、眼科医の中でも手術をする者としない者とで仲間割れを起こしかねない問題も含んでいます。
白内障手術料の点数設定をどうすればよいのかを考えただけで医療費とはいかにあるべきかということを考えさせられ、いろいろな問題を含んでいることが判るというものです。