白内障の患者動向2

白内障の手術点数が4月の改定で大幅ダウンにならなかったのは、前回の改定で約18%の大幅ダウンの直後だっただけに一安心といったところでした。「技術料」と「医療材料」は分離するという大原則の下の再評価だっただけに覚悟をしていたのでした。

 確かに今までのままではトリプル手術の場合には眼内レンズ代にすらならないくらいでしたし、眼内レンズのほうもマルチフォーカル、foldable、 PMMAといろいろ出てくるとどのレンズを使うかによって結果的に技術料に差が出てしまいます。

 さらに技術料を下げられれば白内障手術そのものの価値がなくなったようで眼科医全体がやる気をなくしますし、そうかといって眼内レンズ代にあまりしわ寄せさせれば今度は業者に眼科に対する研究意欲を失わせ、そのことがめぐって眼科のレベルが低下させます。

 眼科医は白内障の手術は「一秒でも早く」ということでやってきたのですが、それが「3分白内障手術」と宣伝する者が出て、これまた「そんなに簡単なものだったのか」と他のドクターから言われて、「下げろ、下げろ」の大合唱です。また、保険点数の改定の時期になると眼科学会と眼科医会の立場の違いがあって要求内容が違ってきます。改定では新しい手術、医療器械、検査手技になかなか点数がつきません。そんな時に白内障手術が減点されては泣きっ面に蜂です。白内障手術がいかに社会に「経済的」に貢献しているか、白内障手術を受けていないままに歳のとった人ばかりになっていく場合のことを、ちょっと考えればすぐにわかることです。

 これらのことを眼科医は日本医師会や国民やマスコミにもっともっとわからせるように努力しなければならないでしょう。