白内障の患者動向
「平成14年度 患者調査の概要」が厚労省より発表されました。それによれば、現在白内障で治療中の患者は全国で129万人おり、男性が38万人、女性が91万人で女性のほうが2倍以上います。これは高齢生存者に女性が多いからだと思われます。また、3年前の平成11年には白内障患者総数が146万人でしたから、この3年間で17万人(12%)減っています。老人人口は増えているはずですから、白内障患者も増えているはずで、総数減少は新しく白内障になった人よりも白内障の手術を受けた人のほうが多くて減少したのか、あるいは景気動向や医療環境の変化で途中で治療を中止した人が多かったのでしょうか。
一方で、手術件数は全国で年間約77万件(平成14年度)、3年前の平成11年度は70万件でしたから、この3年間で7万件増えていることになります。その内容をみますと、病院ではほとんど変わらず、診療所での手術がかなり増加しています。これは眼科の新規開業者(診療所)が増えたためと思われます。
むこう10年の予測を行なうことはかなり困難ですが、この6年間ほどを見れば、今までと同じように医学部卒業生は眼科医局に入局しておりますので、眼科医は同じように増加していくと思われます。増加した眼科医がこれから先も同じように開業していくかどうかは微妙なところですが、大体同じような数で診療所が増えるとして、新規開業者が同じように白内障の手術だけをするとすれば、一眼科医療機関当たりの白内障手術件数は、早晩下ってくるものと思われます。今のところは白内障患者の総数が減っているだけで済んでいますが、そしてこれは譬えが悪いですが、親の財産を食いつぶして生活しているようなもので、この先白内障患者の奪い合いが激しくなるのかも知れません。