“盲点”を探そう!

うっかりして気づかないことを、「盲点をつかれる」 などとよく言うが、この慣用句にもなってしまった「盲点」は、実際にヒトの目に存在する。

 眼球裏側の網膜は、光を感じる細胞(錐状体と杆状体)に覆われているが、残念ながら(?!)、この細胞がない部分がある。ここには神経と血管が一点に集まり、網膜から脳へとつながっている。この点を視神経乳頭といい、光を感じることができないため、「盲点」とも呼ばれる。

 それでは、実際に盲点を探してみよう。紙と鉛筆で、下のような図を書く。(だいたい等倍)

 右目を閉じ、紙をA-Bの結ぶ線が水平になるように保ち、左目では点Bを見つめながら、近づけてゆく。顔から15cmくらいのところで、Aの点が、視野から消えてなくなってしまう。もちろん、視点をAに合わせれば、見えるのだが、視点をBからそらさないのがポイントである。逆の目で、同じようやってもいい。両目それぞれで、盲点を確認することができるはず。

 日常生活の中では、このようなテストをしない限り、盲点があることに気づくこともない。それは、脳が、盲点で見えない領域を補っているからである。 欠損した映像が神経系によって自動的に復元されているらしい。

 なお、盲点の場所は動物によって違うが、もちろんそれには、進化的な意義がある。リスなどの盲点は、頭上の視野をさえぎることがない位置にあり、空からの天敵である猛禽類(ワシ・タカの類)の発見を、盲点によって防げられることがない。