テクノストレス眼症とは何だろう?
先月号でテクノストレスの事を書きました。今月はテクノストレス眼症の話です。
始めに先月のおさらいですが、テクノストレスとは「新しいテクノロジーによる有害作用」を云います。もっと判り易く言えば高度先進技術によって作られた機器(ここではコンピューターです)を使うことによって起こる、機能的及び器質的障害を云います。
そこでテクノストレス眼症ですが、これは日本眼科医会VDT研究班が、それまでVDT症候群と呼んでいた障害を、テクノストレス眼症と命名し診断基準を示したものです。
診断基準として、a.眼精疲労があること、b.頚、肩、腕、手指などに痛み、しびれ等の異常があること、c.精神神経系に異常があることの3項目のうちa,b,cを有するものを完全型、a,bまたはa,cを有するものを不完全型、aのみの者を疑いとしました。
従ってVDT症候群、テクノストレス、テクノストレス眼症の3つはだいたい同じものと考えても間違いありません。
ただここで大事な事が1つあってb,cだけがあったり、またはbあるいはcがあってその上眼疲労もあるというものがいることです。(眼疲労と眼精疲労は違います。眼疲労には器質的変化はみられません。)つまりVDT研究班が命名したテクノストレス眼症以外に、目の病気として他覚的に証明できるような器質的変化は見られないけど目に異常がある者がいるということです。医者は一般に、はっきりした他覚的所見がないと、気のせいだといって治療しない傾向があるのは事実で、こういう点は反省させられます。